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2020年10月の記事一覧
連なり・・・
10月28日(水)、昨日の朝、昇降口に立っていると、扉を消毒する人影が目に入りました。
そういえば5月雨の降りしきる朝、同じく昇降口にあるいくつものプランターに、傘を差しながら、泥まみれになって花の苗を植える姿が目に映りました。夏の盛り、みなさんを出迎えた花はここから始まりました。
実は昨年の夏、休日に用事があって学校に行きました。校舎の周りを歩いていると、東門前の花壇を整備している人がいました。
「どうしたんですか?」「時間のあるときにきれいにしようと思って!」と笑顔で答えてくれました。
くぼた校の先生です。みなさんは勿来高校に通っています。昇降口の花に迎えられ、きれいになった扉に手をかける。眠い目をこすりサンダルをはき、教室について1日の準備をする。
6時間目が終われば、開放感に満たされて、昇降口の植物に別れを告げる。
私たちは1人で生活しているのではありません。普段意識しないところで、誰かにお世話になっています。実は君たちの何気ない普段の言動が、どこかで誰かに影響を与えていることでしょう。
みんなの小さな誠意がつながり合って、社会を成り立たせています。「私なんて」と絶対に思わないで下さい。あなたこそ人生の主役です。
1年生「家庭総合」の授業で、妊婦さんの体験をしました。ベッドから起きるだけでも、どれほど大変なことなのか、共感できましたか?
ほほえみ・・・
10月27日(火)、朝2人の生徒が職員室に遅刻カードを取りに来ました。1人は家を出るのが遅かったから。もう1人は自転車の不具合です。
そうならないように、少し早く準備をしようといつも言っているのにと、苦笑い。
その後、SHRをのぞきます。小論文の課題が出されているようで、完成させようと四苦八苦している様子を目にしました。
作文ではなく、結論を求められる課題。おそらくはじめて挑戦する彼らに、微笑み。
2時間目、1年生「体育」の授業を見学しました。反復横跳びです。スポーツテストの一環でしょうか。そういえば今日の朝、出会った生徒が筋肉痛で足が痛いと言っていました。
理由を聞くと昨日の授業で50メートル走を走ったからと。笑うとお腹が痛くなるそうです。50メートル走でそこまで筋肉痛になるのだろうかと、微苦笑。
4時間目「情報」の授業、Excelの基礎を学びました。「=3+5」「=2×3」などの計算式をセルに打ち込みます。初めてだから「8」「6」とそのまま打ち込む子どもたち。
そのうち「AVERAGE」「SAM」「IF」など、もっと複雑な数式を、社会に出ると使いこなすようになるだろうと、ホッコリ。
君たちの小さな小さな日々の営みと成長が私たちに「笑顔」を与えてくれます。それがパワーの源です。
Make A B・・・
10月26日(月)、今日は2年生コミュニケーション英語Ⅱの授業に参加しました。舞台はタイ、人と象が共存すする国です。
地雷で片足を失った象の命を病院の懸命な努力で救うというもの。この日はこの文章に含まれる「受身」の英文表現を学びました(三省堂『VISTAⅠ』)。
「Was Motala injured by humans?」「Yes,but she was saved by them,too.」子どもたちは訳します。
『彼女(象)は人間によって傷つけられたのですが、また同時に人間によって救われたのです』と。このことについて先生は生徒に意見を求めます。そこである生徒はこう答えます。
「地雷を埋めて象にけがをさせた人間もまた、戦争に参加して自分の国を守ろうとしました。だから必ずしも悪だとはいえない」と。先生は応じます。
「物事は見る立場によって評価が変わります。戦争をせざるを得ない状況こそ、問題にしなければならない」と。
その後、本文はこう続きます。「We can make the world a better place for us and for the elephants.」と。
次の授業では、どのようにすれば、象にも人間にも平和な世界を構築することができるのか、生徒たちに考えてもらうそうです。
私たちの幸せは平和な社会があってこそ実現できます。できることから始めていきたいですね。
挑戦・・・
10月23日(金)、生憎の雨です。この日、1年生「音楽Ⅰ」の授業を見学しようと教室に入りました。その瞬間、机の上に据えられたお箏が目に飛び込んできました。
今日は前回に引き続き、楽器の基本的な知識を学び、実際に演奏してみるという内容でした。
胴の上に立てて弦を支え、置く場所によって音を調節する道具を「箏柱(ことじ)」といい、形によって「並柱」「巾柱」「小柱」と呼ぶそうです。
また、「生田流」と「山田流」と2つの流派があり、前者は角爪を用いるため斜めに、後者は丸爪のため正面に構える。
さらに前者は現代曲も多く、音色を重視するのに対して、後者は「歌もの」とよばれ、歌曲が多いそうです。
説明の後、子どもたちが実際に演奏し始めます。身近な音階である「ドレミファ」ではなく「一二三・・・八九十斗為巾」と書かれた楽譜を見ながら楽しそうに音に親しんでいました。
もし私だったら、きっとひとつひとつの音と手の位置を確認しながら、恐る恐る箏に触れていたでしょう。
時間の最後にみんなで一緒に奏でました。きちんとした心地よい調子が耳を打ちます。私は反省しました。
「失敗して恥をかきたくない」という気持ちが、自分の可能性を閉ざしているのだなと。失敗を恐れず、何事にも挑戦しようと思わせてくれました。
知ることからはじめよう・・・
10月22日(木)、今日は職員会議のため45分の短縮授業です。木曜日ともなり、また昨日はいろいろな行事がありました。疲れている人もいるでしょう。そんな時こそ息抜きをしてください。
私の息抜きは映画を観ることです。古い作品をテレビの再放送やDVDで楽しんでいます。先日1997年公開の『007トゥモロー・ネバー・ダイ』を鑑賞しました。
メディア王が、アメリカと中国を武力衝突させるため、画策します。その企みをイギリスと中国の諜報員が協力して阻止します。
楽しみながらもふと気づいたことがあります。それまでこのシリーズでは、英米と旧ソ連の対立が背景として描かれていました。ところがこの作品では対立相手がソ連ではなく中国です。そこで改めて歴史を振り返りました。
1989年ベルリンの壁崩壊、同年米ソ首脳によるマルタ会談が開催されます。
1991年ソ連が崩壊します。そして中国は2001年にWTOに加盟、2008年に北京オリンピックが開催されます。
そして2010年にはアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国となるのです。
『007トゥモロー・ネバー・ダイ』ではMI6長官のMが戦争にならないように、ボンドに指示を与えます。両国の誤解を解くのが任務です。
私たちは知らない相手に警戒心を抱きます。イメージばかりが膨らみ、自分の行動を制約してしまう場合があります。
私は思います。互いを「知ること」が、誤解から始まるいざこざを回避できる方法だと。
体育大会について話し合う子どもたち。優勝目指して頑張ってください!
目は口ほどに・・・
10月21日(水)、今日は行事が盛りだくさんでした。
3年生の選択授業「生活と福祉」では、いわき市の方が来られて、認知症サポーター講座が行われました。高齢社会に向けて、誰もが得ておきたい知識です。
6校時には全学年で文化祭に関するLHRが行われました。今年はクラスTシャツとクラス旗の作成、体育大会が主な内容です。デザインやメンバーを決めるため、活発な意見が飛び交ったことでしょう。
そして放課後は、毎週水曜日、ボランティア活動として行っている駅前清掃です。通称「関の子ボランティア」と呼ばれ、地域の方々と一緒に汗を流します。それぞれの場面で子どもたちの目が輝きます。
ところで先日、とある商店で卒業生に会いました。入口を入るとすぐのレジスターで働いていました。卒業して半年以上が経ちます。
私はたまたまその日ばっさりと髪を切りました。卒業生もまた在学中とは違う髪型でした。さらに互いに鼻の上までがマスクで覆われています。服装も互いに普段着です。
ところが私が入口を潜り目が合った瞬間、頭を下げ合いました。以前と同じなのは「目」だけです。
昔から「目は口ほどにものを言う」といわれます。その人が楽しいのか、悲しいのか、不安なのか、自信があるのか、目を見ると伝わることがあります。
心の有り様が目に表れることは確かです。だからこそ、無理に表情をつくり、きれいに着飾る前に心を磨いてくださいね。
左右の手の動きを別々に行うことで、脳が刺激され認知症に効果ある体操。
「人間の杖」になることのできる心を持ちましょう!
人生の演出・・・
10月20日(火)、今日は2年生「保健」の授業に参加しました。
生涯にわたって健康で豊かな生活を送ることができるように、人生の各ステージで解決しておくべき課題をどのように乗り越えていくのか、
それを子どもたちそれぞれの問題に置き換えて考えさせる内容です。
まず、「健康的な生活習慣を身につける」「心理的不安に対応する」「自分の行動をコントロールする」「親から精神的に自立する」「性を理解する」という5つの課題から、自分が直面している事柄を見つけます。
次になぜそれにつまずいているのかを考えます。「食事の時間が不規則だから」「夜遅くまでスマホを見ているから」「ネガティブ思考だから」など生徒によって様々です。
最後に「早寝早起きをする」「スマホをいじる時間を決める」「好きなことをして発散する」とそれぞれどのように解決するかを模索します。
そして他の子たちに自分の課題と解決法を伝え、アドバイスをもらいました。自分と同じ悩みを持っていることを共感できたり、他の視点から解決法を見つけたりと貴重な時間だったのではないでしょうか。
先生は言います。「人間生きているだけでもうけものです。ただ少しでも充実した人生を送ることができる方法があるのならそれにこしたことはない。自分の生活を振り返ってみましょう」と。
人生の主役はあなた方自身です。自分で演出していきましょう。
教室から見える木がすっかり色づいてきました。秋を演出していますね。
珠玉の名言・・・
10月19日(月)、今日は3年生の「コミュニケーション英語」の授業を見学しました。先生は毎回授業の初めに、元気を与えてくれる英語の格言を紹介してくれます。
今回はラテン語由来の「( )is the best teacher.」です。子どもたちはどのような言葉を想像したでしょうか。
家族、笑顔、明るさ、優しさ、信頼、感動、行動、友達、情熱、マンガ、ロマン、God、勇気、公平、失敗、Parents、出会い、これら全てがこのクラスの子どもたちが答えた言葉です。
彼らは、時々授業中に寝ます。提出物を忘れます。校則違反をします。礼儀を失います。
でも「大切なものは何か」を心の中ではきちんと育んでいます。大人でも想像できないような珠玉の名言を。
後は行動に移すだけです。それが大人になるということだと思います。心の成長は学歴や年齢では測ることができません。
気力・・・
10月16日(金)、本日から就職試験が始まりました。この日はおよそ20名の3年生が挑戦します。
1年生は、進路ガイダンスです。子どもたちが興味のある分野について、専門家から話しを聞く行事です。
彼らもまた2年後には、本番に臨むことになるでしょう。今からしっかりと自分のライフデザインを描いてくださいね。
ところで、なぜ働くのか。まずは「食べるため」でしょう。労働の対価として、生産物やサラリーを得て、私たちは生きる糧を手に入れることができます。
次に「生きがいややりがい」。例えば医者になって多くの人の命を助けたいという志をもった人です。
私はどちらも働くことの理由としてなり立っていると思うのです。私たちは生物です。食べなければ生きていくことができません。
同時に理性をもった人間です。つまり充実感や達成感などもまた、心のエネルギーとなります。
これは、生きていこうとする活力になります。つまり職は食と心のエネルギーそして気力をもたらしてくれます。
必ずしも望んだ進路に進むことができるとは限りません。でも、働くことはできるはずです。そうすれば気力がでます。
気力は人生を変えます。どのような仕事にも真摯に向き合ってください。
必ず気力つまり生きる喜びを味わうことができます。この気持ちさえあれば、人生は変えられます。
目印・・・
10月15日(木)、急に肌寒くなりました。予想最高気温18℃、秋が深まりつつあります。
今日は2年生「情報処理」の授業を見学しました。本校では子どもたちが資格取得試験に挑戦する機会をいくつか設けています。
昨年度の情報処理検定試験の実績は、文書デザイン1級~4級に4名、情報処理検定(表計算)1級~4級にのべ50名でした。
どちらも1級に合格した生徒もおり、努力の成果が見られます。他にも英語、数学、漢字などいろいろな検定受験の機会があります。
「将来のため」「好きだから」「興味本位で」と挑戦しようとする動機は様々でしょう。
私自身検定を受験したことはありません。ただ、体を動かすことが好きだったため、柔道や弓道、空手道などの昇段試験には参加しました。
また、歴史が大好きだったので、大学で日本史を研究しました。こちらは卒業時に学士号が得られるだけですから、資格と言うほどでもありませんが、どれも一生懸命頑張りました。
もちろん自分より強い人、学識のある人はたくさんいます。ただ、自分が活動する上での目印になりました。
私は強い人間ではありません。好きだから鍛錬し、探究し、研鑽します。でも時に嫌気がさしてきます。なぜ自分はこんなに苦労をしなければならないのかと。
その様な生活の中で、目に見える成果があると励みになります。80点や2段をとることができたという目印が、次のステップにつながりをつけてくれます。
ぜひいろいろなことに挑戦してみてください。そのバイタリティーが日々の活力を生み出してくれます。
助け合い・・・
10月14日(水)、昨日に引き続き、1校時目は文化祭の準備です。3年生の教室にお邪魔しました。クラスのテーマとクラスTシャツについての話し合いです。
文化祭のテーマが「和衷共済~We can overcome any hardship~」です。みんなで助け合い1つの目標に向かって頑張ろうとの思いが込められています。
このコンセプトに従い各クラスがテーマとTシャツ、クラス旗のデザインなどを行います。
ところで、以前もご紹介しましたが、原人から進化した旧人と新人が共存していたといわれます(NHKスペシャル『人類誕生』2019)。
旧人は肉体的に優れた形質を持ち、獲物となる大型動物と対峙していたそうです。反対に新人は肉体的に恵まれず、身を守りまた狩りをするために集団で行動をしていたといいます。
結果的に、協力し合って生活した新人が生存競争で残りました。
カタログを参考にクラスTシャツを考えます。色、柄、形、素材にデザインと個々人の嗜好はまちまちです。なかなか決まりません。正解がないのですから、時間がかかります。
じれったいと思うこともあるでしょう。でも、じっと他の人の意見に耳を傾けましょう。時間がかかるかもしれませんが、君たちの決めたテーマに向かって助け合いながら良いものを生み出していってください。
伝えるべきものを・・・
10月13日(火)、今日から3日間1校時目に各クラスが文化祭に向けて話し合いを始めました。3年に1度の文化祭ですが、感染症拡大の影響から、小規模なものとなります。
それでも青春の1ページとなる思い出を作ってください。
私はこれまで何度も文化祭に立ち会ってきましたが、2つほど印象深いものがありました。
1つ目は、自分が中学校1年生の時です。演劇でした。登場する男子生徒2名は親友です。ところが1人がいわゆる「不良」になります。
一方の男子生徒が何とか彼を立ち直らせようとして、奮闘努力し、最後の場面で不良グループと戦います。そしてついに親友を取り戻すのです。
当時としては陳腐なストーリーですが友情をテーマにしたものでした。教室に机で舞台を設置し、黒板に背景を描きました。自分が役者として出演したこともあり、懐かしい思い出です。
2つ目は、教員として担任をもっていたクラスでの出し物です。2001年、ニューヨークの貿易センタービルに2機の旅客機が突っ込みました。
忘れもしません、風呂上がりにテレビを観ていたらいきなりその映像が目に飛び込んできました。いわゆるアメリカ同時多発テロです。
このとき多くの犠牲者が出ました。文化祭はその直後でした。そこで、鎮魂と平和をテーマに犠牲者の数の折り鶴で、2棟のビルを再現、当時の新聞記事やニュース解説などをまとめて教室に展示しました。
文化祭が思い出に残る条件は2つあると思います。
1つは自分がどれだけその準備に関わることができたか。もう1つは人々に何を伝えたいのか。
後輩やこれから生まれてくる子どもたちに伝えるべきものを創出してください。
2時間目から通常授業になります。2年生は「日本史B」の時間に第一次護憲運動を学びました。仮にこのテーマだとしたら、何を学び何を伝えることができるでしょうか?
比べるべきは・・・
10月12日(月)、台風の影響もなく、新しい一週間が始まりました。今週16日(金)から就職試験本番が開始され、3年生の多くが挑むことになります。
これまでの練習や努力、何より自分に自信を持って臨んでください。
ところで、先日『日日是好日』という映画を観ました。お茶を習う主人公が、先生から「工夫しなさい」と言われて、何年も稽古を重ねながらも、後輩たちより上達しない、そんな自分を不器用だと苛みます。
この場面を観て自分はどうだろうと考えました。頭脳明晰、学校の実務を快刀、乱麻を断つごとく捌く先生。
毎日授業のプリント作りに精を出し、放課後遅くまで子供たちに付き合う面倒見の良い先生。
いつでもどこでもどんな時も、心から君たちに語りかける情熱的な先生。彼らに私は敵いません。
でも思います、比べたってしょうがないとーー。私たち教師は方法が違っても、みんなが「入って良かった」と思える学校にすることです。
比べるべきはただ一つ、昨日より今日、みんなの「笑顔」に接することが出来たかどうか。
これから就職して環境が激変する人もいるでしょう。
自分を上手く表現できずに思い悩み、失敗し、注意され、自分を卑下することがあるかも知れません。
でもそのような時に思い出して下さい。比べるべきは、製品、商品、お客さんの「笑顔」であることを。
3年生の昼食風景。卒業するときの「笑顔」を期待しています。
巡り会い・・・
10月9日(金)、台風14号が接近中です。曇天の空の下、覆い尽くす雲を払いのけるかのように、颯爽と1年生が“職”体感ツアーに出かけていきました。
本校は、1,2年生が県内の企業を見学します。さらに2,3年生がインターンシップに赴きます。
今年は感染症の影響で計画通り進まないこともありますが、進路活動の一環として、職業意識を高めることにつながっています。
ところで職業をさす単語について、英語(job)とドイツ語(beruf)では少し意味内容が異なると言います。
後者には生きるために自分の時間と労力を提供して対価を得るという以外に、天(神)から与えられた使命という意味合いも含んでいると言います。
この違いについては19世紀のドイツの学者マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』に詳しいそうです。
彼はドイツ語の聖書では職業を「ベルーフ」と訳していることから、その論を展開します。宗教改革の端緒となったマルティン・ルターが聖書をラテン語からドイツ語に訳します。
その後フランスでドイツの動きに影響されてジャン・カルヴァンが「予定説」として人間の生涯は生まれながらにして決められていると唱えます。
つまり、ある職業をすることは天から与えられたことであるから、励まなければいけないという考えにつながります。
私は長く教員をさせていただいています。なってよかったと思います。それが「job」なのか「beruf」なのかは分かりませんが、「縁」だと感じています。
この職業を通じて巡り会った人々のお陰で、日々の充実感が味わえるのだと思います。
どのような職業に就いても、人との出会いを大切にしたいものですね。
全てが学びにつながる・・・
10月8日(木)テストが終わりました。答案が返されるたびに、教室内がざわつきます。結果に一喜一憂することなく、何が必要とされるのか、考えるきっかけにしましょう。
今日は2年生「数学A」の授業に参加しました。先生は、模範解答を配ります。簡単な解説を加えた後、答案を返却しました。子どもたちは間違った問題をノートに写します。
その際、問題も一緒に書くように指示します。問題文が何を求めているのかを再度確認させるためです。
最小公倍数なのか、それとも最大公約数なのかで、途中の式も変わってきます。ゴールが違えばルートも違います。それを気づいて欲しいのです。
子どもたちが間違い直しをしているときに、先生がナイロンひもを一人ひとりに手渡します。これまでファイルしたプリントをはずしてひもでファイリングし直す。
なぜそのようなことをしているのか、授業の後先生にお聞きしました。「ファイルがいっぱいだから」だそうです。先生は毎回プリントを配ります。
黒板の文字や図をノートに書き写すことを省略するためです。教えたいのは計算の過程や図の分割の仕方だからです。
さらにプリントを整理する過程で、これまでの学習を振り返ることができます。復習まではいきませんが、これまでの学習の軌跡をたどることで、授業に取り組む姿勢を見直すきっかけになります。
数字や図形に取り組むことだけが勉強ではありません。書き写したり、整理したりすることもまた、学びの一環なのだとあらためて感じさせられました。
挨拶・・・
10月7日(水)、中間考査最終日です。1年生は「コミュニケーション英語Ⅰ」「国語総合(現代文)」、2年生は「古典A」「生物基礎」、3年生は「コミュニケーション英語Ⅲ」「地理A」「国語表現」です。
ところで昨日、県庁からお客さんがいらっしゃいました。一通りご助言をいただいた後、校内をご案内しました。放課の時間帯であったせいもあり、何人もの生徒さんと出会いました。
誰もが笑顔で挨拶をしてくれます。勿論普段から「こんにちは」と言ってくれますが、やはり外部の方への挨拶はどことなく、たおやかさを感じます。
初対面の人に、このような挨拶ができる本校生を誇りに思います。
ただ、ふと思ったことですが、これが街中や道ばたとなればどうでしょう。見ず知らずの人に突然笑顔で「こんにちは」と挨拶をしたら、された方も戸惑うことでしょう。
しかも近年の社会風潮として、犯罪防止の観点から、見ず知らずの人とは話さないように保護者や先生から言われている人も少なくないでしょう。
SNSを通じた交友関係の広がりによるトラブルが頻発しています。知らない人との交流は、時に身を危険にさらすことがあります。
みなさんの昨日の挨拶は、その適切な判断力が身についていることの証です。ぜひ、責任ある行動をとることができるようにしてください。
試験最終日です。登校する後ろ姿にエールを送ります。
超能力・・・
10月6日(火)中間考査2日目です。1年生は「国語総合」「数学Ⅰ」、2年生は「現代文B」「コミュニケーション英語Ⅱ」、3年生は「世界史A」「簿記」「生物演習」「数学Ⅱ」です。
テストになると、あるマンガに出ていた教科書の内容を写し取り、食べると暗記できるパンを思い出します。
ところで私が子どもの頃、テレビなどで盛んに「超能力」についての番組が組まれていました。力を入れずに曲がるスプーン、カメラに向かって念じると頭の中の映像が現像される念写などです。
中でも今でも鮮明に記憶している場面があります。ある薬の瓶から触れることなく薬を取り出すことができる能力を持つ人が紹介されます。
カメラは回るのですが、一向に薬は瓶から出てきません。その人は言います。今日は調子が悪いと。
私は超能力を信じます。というより人知の及ばない部分がまだまだこの世に存在していると思います。
ただし、例えば瓶に触れることなく薬を取り出すことができたとしても、状態によって成否が変わってくるのなら、はじめから手を使って蓋を回した方がよいのではないかと思うのです。
誰しも夢があります。しかし、今すぐに叶えられる「超能力」は持ち合わせていません。だからこそ人々は今できることを積み上げていきます。それこそが過去の自分に持ち得なかった「超能力」なのではないでしょうか。
一歩ずつ着実に力を身につける姿勢こそが、夢を実現する第一歩です。
敷地内にたくさんの「曼珠沙華」が咲きます。季節を感じさせてくれます。
生身の人間・・・
先日、『ノッティングヒルの恋人』を観ました。街の本屋さんが映画女優さんと恋をします。レストランで食事中、隣席するグループから彼女の噂話が聞こえてきます。
そのくちさがない内容に男性は「その人も生身の人間だ。相手の気持ちも気遣うべきじゃないかな!」と抗議しました。
私たちが芸能人さんの噂話をすることは珍しいことではありません。特にゴシップ記事となれば、真偽のほどはともかく、話しに花を咲かせます。
ところが私たちはその人物がどのような人か知りません。会ったことや話したことすらありません。切り取られた写真や記事から、その人間像を創り出します。
10月2日(金)、1年生がスマホケータイ教室を通信会社の講師の方から受けました。SNS上に流される写真やメッセージが時に人を傷つけます。
それを防ぐことができない人に、スマホやケータイを使う権利はないと伝えられました。
私たちは目の前の相手なら、愛をもって接することができます。
ところがスクリーンや画面、紙面を通すと「生身の人間」ということを忘れてしまい、2次元の世界の創り出されたキャラクターとして扱ってしまうことがあります。
どのような時も相手が自分と同じ世界に住む、血の通った人間であることを忘れてはいけません。自分がそうであるように、その人も幸せになろうと一生懸命生活しているのですから。
そのように思うことができる感性を育ててください。
テスト・・・
10月5日(月)2学期中間考査初日です。1年生は「地学基礎」と「現代社会」、2年生は「日本史B」と「数学A」、3年生は「現代文B」と「教養数学(選択者のみ)」と「化学基礎」です。
ところで「test」とは試験や検査、試練などの意味があるそうです(東京書籍『アルファフェイバリット英和辞典第2版』)。
もともとは土製の壺を意味し、金や銀の純度を調べるために用いられていたそうです。派生語には「contest」「protest」などがあるそうです。
前者は接頭語「con(共に)」に「test」で「共に証拠を出し合うこと=コンテスト」、後者は接頭語「pro(前に)」とつながり「証拠を前に出す=抗議する」となります(The English Club H.Pより)。
こうしてみると言葉は変幻自在にその形や意味を変えていくことが分かります。使われていた時代の人々が、どのようなことを考え、どのような生活をしていたのかが、浮かび上がってくるようです。
さて、今日から君たちがこれまで学校でどのように過ごしてきたのかが「検査」される3日間が始まります。みなさんにとっては「試練」かもしれません。
ただしそれは「試金石」でもあります。結果の善し悪しに一喜一憂せず、今後どのようにすればよいのかを考えるきっかけにしてください。
試験に備えて、勉強する君たちに幸多からんことを祈ります!
作り出す力・・・
9月30日(水)、今日は先生方の研修のため、45分の短縮授業です。秋晴れの中、2年生の「情報処理」の授業を見学しました。
この日は、パソコンを使わず、机上で関数の学習をしました。「Rank」「Vlookup」と会社の売上帳を作成する上で必要とされる関数です。
会社では、膨大な製品や商品の原価や売価、売上高に利益率、販売個数などをもとに、経営戦略を練ります。ほとんど全ての企業がこのような管理をパソコン上で行っています。
このようなソフトを専門に扱う人をシステムエンジニアといいます。25年前、私が大学生の頃、指紋認証システムを開発する会社に応募しました。
その頃、たまに耳にする職種でしたが、今では社会になくてはならない職業です。
現在、AI技術の発達による社会環境の急激な変化で、これまでにあった職業は、人から機械にとってかわられるという話を耳にすることがあります。
自動運転が実用化されれば、運転する人はいりませんし、学校だって、先生は必要ないかもしれません。
でも私は思います。人は社会の変化に応じて、必要とされる人や事柄を見つけ、働く場所を創り出すものだと。「生きる力」を身につけましょう。
そのためにも生涯自分で自分自身を磨くことのできる方法を高校にいるうちに育ててください。
きれいな青空です。もうすっかり秋ですね。
たがいに素・・・
9月29日(火)、今日は2年生数学Aの授業に参加しました。「たがいに素」という言葉が出てきました。きっと私も学生時代習った言葉なのでしょう、何となく懐かしさを覚えます。
2つの数字の最大公約数と最小公倍数を、共通する素数で分解してきます。
共通する素数を掛け合わせたものが最大公約数、全ての素数を掛け合わせたものが最小公倍数、ところが共通する素数が1しかない数字同士があります。
従って最大公約数は1、最小公倍数は互いの数を掛け合わせた大きな数になります。この関係が「たがいに素」なわけです。
「たがいに素=共通するところがない」といわれると何となく寂しい気持ちになります。
ところが、数学の参考書に次のようなコラムがありました。アメリカに生息する「素数ゼミ」の話です。
アメリカ南部に生息するセミは13年ごとに羽化します。北部のセミは17年ごとだそうです。「たがいに素」の関係ですから、最小公倍数は13×17=221。
221年に一度しか出会えない南部・北部のセミ同士には大きな隔たりができる一方、同じ周期を持つ仲間とは出会いやすくなります。
長い時間を暗い土の中で過ごし、同じ仲間と一斉に出会うために素数の周期で生きるセミたち――。
広大なアメリカ大陸に暮らすセミたちが、現在まで生き残ってこられた戦略なのでしょう。
もしかして「共通するところがない」ということは、「お互いの違いを尊重する」ことにつながるのかもしれません。「共生社会」の入口のような言葉でした。
いつの間にか扇風機にいらない気候となりました。